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2019.04.04日本大使館主催ソウル上映会 大盛会のお礼とご報告
去る3月30日、在韓日本大使館主催による『一陽来復 Life Goes On』上映会およびレセプションが韓国ソウルにて開催され盛況のうちに終了しました。日本からも監督と出演者が招待され、大勢の方々と直接お話する機会に恵まれました。心からの感謝を込めてご報告致します。
映画の韓国タイトルは、『봄은 온다』(ポムン オンダ)(「春は来る」という意味)。日本大使館主催の上映会には、政治行政や経済界、報道機関の他、日韓文化交流に携わっている方々、そして震災復興支援にご尽力くださった大勢の方々がご来場くださり、場内は満席となりました。上映中は南三陸そろばん教室の場面では歓声があがったり、終盤にはすすり泣きも聞こえてきました。
お客様の中には、復興支援の横断幕を毎年手作りして南三陸町の南三陸病院に送ってくれているクリムナラ美術学院(絵画教室)の子どもたちもソウル近郊の富川市から駆け付けてくれました!映画は小学生には難しい部分もあったかもしれないのに、子どもたち皆最後まで静かに映画を鑑賞してくれて、上映後は一緒に写真撮影をしました。
長嶺安政大使もご挨拶くださいました。韓国からの復興支援に対するお礼を、韓国語で心を込めてお伝えされていたのがとても印象的でした。
日本から招待されたユンミア監督と、出演者代表として石巻の遠藤伸一さんと綾子さんご夫妻は、長めの舞台挨拶をさせていただきました。絶望的な状況の中から今日まで生きてこれたのは、いつも隣に誰かがいて一緒に毎日を過ごしてくれたから。深い悲しみは消えることはないが、周囲の人の支えによって小さな幸せを少しずつ見つけることで生きてきたこと。今時間が経って被災した子どもたちの心の傷が表面化してきているので、自分達がそうしてきてもらったように、子どもたちを一人にしない、何かあったらいつでも話ができる大人として近くにいることで、グリーフケアを行っていることなどを遠藤夫妻にお話しいただきました。通訳をしてくださったカン・ミナさんが、涙を堪えて遠藤夫妻の言葉を丁寧に韓国の方にお伝えくださっていました。
ユン監督は、日韓関係が悪いと言われている今、この映画が韓国で上映された意味に関して、映画の中で南三陸の後藤一磨さんが話していたことになぞらえ、順調な時は気が付かない問題に気が付くチャンスなのかもしれないと話しました。あの大震災からも回復する力が人にはある、日韓関係もきっと良くなる時が来る。また南三陸ホテル観洋の伊藤俊さんからのメッセージを紹介。韓国からの支援物資がたくさん南三陸に来ていたこと、たくさんの人が助けられたことを、感謝を込めて伝えました。
映画上映後は、長嶺大使主催によるレセプションが行われました。本作の配給会社CGVアートハウスを傘化にもつCJグループの孫京植会長による献杯のご発声に始まり、和やかな雰囲気の中で大勢の皆さまと直接お話することができました。お客様は東北や復興支援とつながりのある方々が多く、被災された皆様の痛みに思いをはせ、東北のさらなる復興を願いました。また今回多くの日韓の方々が穏やかに交流する様子に、文化交流の底力と明るさを感じるひと時となりました。
東日本大震災がもたらしたのは絶望だけではなかったという現実を、映画に登場する様々な人々の姿を通じて韓国の方々にも感じていただけたのではないかと思います。悲しみや苦難を抱えてなおも人は生きていくことができる、という力強い証を、遠藤夫妻が韓国の方々に直接お話しくださったことの意義は大きかったと思います。石巻からソウルへ、短い日程でご参加くださった遠藤夫妻には心よりお礼申し上げます。
また今回の上映会は、日本大使館・公報文化院の西岡達史院長がご提案くださり、短い準備期間、大使館・公報文化院が総力を挙げて実現のため尽力くださいました。本作を通じて、地震や津波で被災した方々のその後の姿をご覧いただきたい、そして韓国の皆さまへ復興支援のお礼を改めてお伝えしたい、という大使館・公報文化院全員の熱い思いが伝わりました。皆様が普段いかに真摯に韓国でお仕事をされているかを垣間見たようです。長嶺大使、西岡院長、他大使館・公報文化院の皆さま、このような機会を設けていただき本当にありがとうございました。
東日本大震災で生じた放射線汚染への批判が強い韓国で、この時期に本作品が公開・上映されたのは画期的なことです。この上映をきっかけとして、震災後の東北には希望もたくさん生まれていることを韓国の方にも知っていただけますよう、そしてこれからも益々日韓の文化交流が盛んになりますよう願います。